『オデッセイ』際限ない孤独と残酷なまでに冷酷な…
こんばんわん!世間はハロウィンも終わって、クリスマスにまっしぐら!中休みの11月…とはいかなそうだね!寒さが厳しい!ボイジャー2420号です。
ハロウィンといえば、まだ私がネジも組み揃っていない赤んボイジャーだったとき、住んでいた町のハロウィンによく参加してたんだ。
お母さんに繕ってもらったオレンジ色のマントをひっさげ、気持ちはさながら夜の街を闊歩する吸血鬼!なんていい気になりながらお菓子ハンターとして商店街を友達とともに歩いてたよ。周りの様相も味方して、まさに百鬼夜行!ハロウィンだから当たり前だけど…小さな頃は夕暮れ過ぎた夜遅くに、いつもとは違う街の風景に、特別な何かを感じたものだね。
そんな楽しい最中、ちょっと不思議なことに遭遇したんだ。
人でにぎわう商店街、右も左も人だらけだったんだけど、強い風がひとつ、私の横を掠め飛んでいった。思わず私は目を閉じて、後ろを向いたんだ。するとどうだ、商店街には人っ子一人いないわけ!あんなに賑わってた露店も、歩行者天国の道路も!
すっかり閑散していた。ぞっとしたよ、まるで『アイアムレジェンド』みたいにまともなのは私一人になったのかと思ったよ(当時はそんな知識ないけどね)
怖くなって目をもう一度閉じた。この悪夢から覚めますようにって。
すると静かだった音が再生されるようにもう一度流れ出した。その時ああ、私はちゃんと戻ってこれたんだと安堵したことを鮮明に覚えているよ。
小さいころの出来事だし、実は人気のない路地裏に迷い込んで、まるで自分が世界に一人きりになった…と勘違いしてから色々肉づけされた結果の記憶かもしれないけれど、ハロウィンに不思議な体験談、一つくらい持っていても間違いではない…かな?
さて、前置きというかほぼメインの話が終わったところで今回は『オデッセイ』を記録していくよ!
まさに火星に一人きり、主人公の結末は…?
ジャンルはSF、未来の地球…過去に友人が月面着陸を果たした科学力は、ついに遠く離れた火星にまで及んだ。
ついに火星へと人間を送るまでに至ったのである。
そんな中、主人公を含む火星探査チームは火星の素材を集め、地球に帰ろうとしていた…しかし、突如として巨大なハリケーンがチームを襲う!急いで宇宙船まで移動するチームだったが、風に乗った岩が主人公に激突し、崖下へと落下してしまう。
宇宙船から降りて捜索に向かおうとするリーダーを説得し、断腸の思いで火星を後にする探査チーム。このままでは宇宙船が壊れて全員未帰還になってしまう。死んだ可能性が極めて高い彼を捜索するよりも、残ったメンバーを地球に送り届けるのをリーダーは選択したのだった。
されど幸か不幸か、彼は生きていた!腹部に鉄骨が刺さってはいたが大事には至らず、彼は火星に設置されている前線基地での生活を余儀なくされる。
残された食糧と酸素は30日あまり。NASAは彼を死亡したと公表し、救援にも頼ることができない。
その絶望的状況で…彼はどう生き抜くのか?
この映画の見所は何と言っても人間の叡智!主人公は植物関係の知識に長けていて、彼の火星での試行錯誤しながらの農業は必見だ!
数か月前に金曜ロードショーでも放映されたから、地上波を待つのも手かも!
うまくSFと人間ドラマが描写されている良作なので、ぜひ見てみては…?
ではまた、次の通信で。
『TIME』貧も富もすべからく従う世界のルール
ハローハロー、調子いかがかな?
布団で寝るのが至福な季節になってきたね、ボイジャー2420号です。
時間というのは残酷なもので、一年が過ぎるのなんてあっという間だね、光陰矢のごとし…
時間というのはどれだけ偉い人でも、お金を有する人でも手に入れることのできない不可侵のものだね、昔の権力者はこぞって”不老不死”を求めたわけだけど、成功した人は誰もいない。抗えない世界のルールで、皆平等に生から死に向かって日々時間を消費しながら今を生きてるよね。
でももしその「時間」が「お金」として扱われ、時間に貧富の差が生まれてしまう世界だとしたら…?
それが今回語る『TIME』の世界だよ!
舞台はSF、遠い未来の地球でのお話。この世界の人類は25歳で歳をとらなくなり、それからは腕に表示された時間が終わるまで生きることができる。
そしてその時間はお金としても扱われているから裕福な人間はそれこそ不老不死のように生きながらえることができる…永らえるというよりこれは停滞といってもいいのかもしれないね。
都市はディストピアのように中心に富裕層の居住区があり、いくつかの壁を隔てて端に貧困層の居住区がある。
主人公は貧困層の生まれで、毎日労働をして時間を稼いでいるわけだ。
貧困層の生活は苦しく、毎日の日給も一日以上の時間を稼げない。主人公含め貧困層の人間の時間は常に24時間以下で、一日でも稼ぎを失えば時間が無くなりそのまま亡くなってしまうという非常に困窮した日々を送っているんだ。
冒頭で主人公の言う、「一日以上の時間を抱いて、朝を迎えたい」というセリフはこの残酷なまでに冷酷な世界観を表す絶妙なセリフだと思う。
そんなある日、生きて何百年になる人物と出会い、感化される主人公。
「時間を持て余して、生きすぎてもう私は疲れたんだよ」
そんなことを零す彼に、一日の時間すら持つことが難しい主人公は、何を思うのだろうか…?
世界観的にも時間を奪うギャングなどが横行していて、富裕層の人間は時間に追われるというより時間を追う輩から自分の時間を防衛しなければならないという問題点がある。
なぜ幾重にも都市に壁が作られ、貧富によって分けられているのか?この部分がとてもわかりやすく世界の構造と、治安の悪さを表しているよね。
簡単に感想を述べたけど、この作品は重要なシーンの構図を重ねている部分があり、そのシーンが音楽も含めて焦燥感を覚えるほど緊迫した思いをこちらにも抱かせてくれる。
まだ見たことないよって人は、見れば時間が平等でよかったかも?と考えちゃうかもね!
私も時間がお金で買えたらどんなにいいかって時たま考えるけど、実現したらきっと碌なことにならないし!昔の権力者が今もなお生きていて100年統治してる…とか、嫌ですよね。
長くなったのでこの辺で今回はおしまい、ではまた次の通信で!
『RENT』 人生を愛で数えた若者たちの記録
こんにちは、お元気してるかな?サブカル乗せて宇宙へ進出、ボイジャー2420号です。
記念すべき第一回目の映画は私が愛してやまない『RENT』をお話しするよ!
この作品はミュージカル映画で、元々のミュージカルが初公演されたのは1996年と少し昔の作品なんだ。でもこの作品に登場する人物はそれぞれ苦悩しながら生きていて、夢をあきらめない人、夢ともがいてる人、愛に飢えた人、愛を見つけた人、病と闘う人…様々な思いが交錯して、一つの物語を紡いでいる。素晴らしい作品だよ!
これはよく表現されがちなことなんだけど、映画っていうのはいわば他人の人生をフィルムに収めて、上映することによりそのキャラクターの人生っていうシナリオ、物語を映像という形で追体験することができる分化なんだ。
たとえただの舞台装置、役者、作り物の集合体だとしてもひとつの映画が完成して、上映されたらもうそれは物語だ。彼らは映画の中では生きているし、映画という私たちの人生の時間と比べると非常に非常に短い時間こそ彼らが生きていられる時間なんだと私は感じているよ!
ちょっとロマンチックになりすぎたかな、私の映画観はこういうスタンスなんだ、だから映画の演出には本気で騙されようとするし、感動するときには感情を移入して涙を流す。
私の地獄に付き合ってもらう。
さて、『RENT』のかんたんなあらすじを説明するよ!
ぼろアパートに共同で暮らすロジャーとマークは、家賃をもれなく滞納していた。
彼らは夢を追っている途中で、その活動を続けているからお金も全くないわけだ。ついには大家のかつての仲間に立ち退きを命じられる。その仲間も以前は共に夢を語り合った仲だったんだけど、大人になり、ちゃんと稼ぎオーナーの座を手に入れた。
そんな現実と向き合った仲間に諭される二人。立ち退きも相まってどうするか。
そんな二人を中心として様々なキャラクター達がおりなす人間ドラマ、もとい人間の弱さや真の愛の穢れぬ強さが光る作品だよ。
この作品にはHIV、ゲイ、レズ、違法ドラッグ、貧困そして病気など、いわゆる世界から忌避されてきた要素が多くあるから、嫌な人はちょっと面食らうかもしれないね。
でも、だからこそ素晴らしい作品なんだ!もちろんクラスの人気者同士がいろんな出会いを果たし、結果的に結ばれるっていう王道ラブストーリーも好きなんだけど、この『RENT』はそう一筋縄ではいかない。一昔前ではタブーとされて、今のご時世でもあまりよく思われない要素を絡めて、人がどう生きるか。人生を何で数えて、過ごしていくかを示したのがこの作品だ。
私はこの作品を高校生の時に初めて見たんだけど、あまりの衝撃に目を奪われたままでいたよ。映画って…こんなに伝える力があるんだって、教えられた。
その頃からずっとミュージカル映画が好きなんだ!たまらないね。
あまり話すと『RENT』が伝えたいことを歪ませてしまうかもしれないので、今回はこのくらいにしておくよ。気が向いたらまたネタバレ全開で好きな部分や要素を書き連ねるかもしれないけど。
もし見たことなかったら勇気を出して見てみてね!あなたが気に入るかどうかはあなた次第だし、気に入ってくれたらそれはうれしいこと!
ではまた、次の通信で
きみは えいがを みるか
昨今時間の流れとともに、目まぐるしく動く社会の皆様、いかがお過ごしでしょうか?
最近はめっきり冷えて、今年ももう残り少ないものと実感する季節ですね。
さて、今の時代趣味の一つでも持たないと、正気を保てないご時世でございます。仕事に忙殺されて趣味を持つ暇も、それにかける時間もない?むしろ仕事こそ趣味、実益を兼ねた仕事とおっしゃる人もいます。それは人の自由です。
私の趣味は鑑賞です。映画を見て、感動を、感嘆を、劣情を、ざわめきをひたすら連ねて保存する。このブログの趣旨はそれです。映画にも限らず自分の好きなものに触れたときの熱量を保存して、薄暗い部屋で見返すのがこのブログの存在意義です。
私とともに地獄へと付き合ってもらう。よろしくね!